パリオリンピックのマラソンコースがあまりにも過酷すぎると陸上競技のファンを中心に話題になっています。
アップダウンが非常に激しく、間違いなくオリンピック史上最難関のコースです。
どのようなコースか詳しく見ていきましょう。
パリの名所を巡るコース
パリオリンピックのマラソンはパリとその周辺の名所を巡ります。
スタート地点はパリ市庁舎です。
その後、オペラ座→ヴァンドーム広場→チュイルリー庭園と巡り、ルーヴル美術館の前を通過します。
ブレイキンなどが行われるコンコルド広場、多くの文化イベントが開催されるグラン・パレといったパリの中心部を通過し、開会式で式典会場となったトロカデロ庭園、そして折り返し地点のヴェルサイユ宮殿に向かいます。
ヴェルサイユ宮殿付近は下りですが、この5kmほど後に強烈な上り坂と下り坂が待っています。
終盤はエッフェル塔の近くを通過しますが、選手達はエッフェル塔を見る余裕がほとんど無いのではないかと思います。
フランスの英雄ナポレオンが眠る場所として有名なアンヴァリッドがゴール地点となっています。
風光明媚なコースで、観戦する人にとってはパリの名所を一度に見ることができるとあって楽しめそうです。
ですが、実際に走る選手にとってはこの上無く厳しいコースです。
史上最難関のコース
パリのマラソンコース視察完了。14k過ぎから33k付近のアップダウンは聞いていた通り😱 中でも28k過ぎで下った後の上りは前面に壁のように見えました。 下り勾配も斜度が10%以上ある上長いので上り以上に脚にくると感じました。#パリオリンピック#マラソンコース pic.twitter.com/4dh9psrTqU
— 山下佐知子 (@315yama) December 1, 2023
パリオリンピックのマラソンコースはオリンピック史上最難関コースと言われています。
15km付近から約6kmも続く上りが選手の体力を徐々に奪っていきます。
20km手前からの急傾斜を上り、最高点183mに到達後は一転して下り基調となります。
28キロ手前で上り、一度平地になってから最大勾配13.5%という壁のような約900mの上り坂が待っています。
さらにそこから箱根6区を彷彿とさせような強烈な下り坂もあり、脚に相当な負担がかかること必至です。
終盤の約10kmは平地ですが、路面の多くは走りづらいヨーロッパ特有の石畳で疲労は極限に達します。
このコースについて、元マラソン世界記録保持者のポーラ・ラドクリフは、「前例のないコースで行われるパリ2024のマラソン競技は、アスリートにとって大きな挑戦となるでしょう。このレースは、これまで以上に予測不可能で、伝説的なものになることは間違いありません」と話したという。
30km手前までのコース高低差を見ていると、何となく箱根駅伝の2区を連想してしまいました。
箱根駅伝の2区は各大学で最も力のある選手が走る難コースです。
権太坂と戸塚中継所手前の戸塚の壁と言われる急坂がかなりの難所ですが、それでも高低差は50mも無いくらいです。
パリオリンピックのマラソンコースは、最大156mの高低差で、28km過ぎから戸塚の壁や遊行寺の坂、箱根5区の急坂よりも厳しい坂が待受けています。
その直後に箱根6区のような激しい下り坂を下り、そこからさらに約10kmを走るというとんでもないコースです。
今年のパリはかなり涼しいのが救いですが、日差しは強いようです。
男女共にアフリカ勢が強く、平地のコースでは日本人選手は歯が立たないですが、今回のコースは速さよりも強さが求められますので、日本人選手が活躍する余地はあります。
スタミナとアップダウンの適性が鍵で、どこで仕掛けるかによって結果が大きく変わります。
脚に相当負担がかかるコースですので、最後まで何が起こるかわかりません。
市民マラソン
オリンピックのマラソンと全く同じコースで男子マラソンと同じ2024年8月10日(土)に市民マラソンが実施されます。
市民マラソンでは42.195kmと10kmのレースがあるそうです。
それぞれ約2万人が参加するとのことですが、これまでに全く無い試みですね。
フランスは史上初ということに非常にこだわりがあるようですが、この難コースを一般市民が走るのですから大変なことです。
男子マラソン 放送予定
男子マラソンは2024年8月10日(土)15:00にスタートする予定です。
放送予定は以下の通りです。
放送局 | 時間 |
---|---|
TBSテレビ | 14:00~18:00 |
BS-TBS | 14:50~18:00 |
TVer | 14:00~18:00 |
日本からは赤﨑暁選手(九電工)、大迫傑選手(ナイキ)、小山直城選手(ホンダ)が出場します。
女子マラソン 放送予定
女子マラソンは2024年8月11日(日)15:00にスタートする予定です。
放送予定は以下の通りです。
放送局 | 時間 |
---|---|
NHK総合 | 14:30~17:50 |
NHK BSプレミアム4K | 14:50~17:50 |
日本からは一山麻緒選手(資生堂)、鈴木優花選手(第一生命グループ)が出場します。
なお、日本記録保持者の前田穂南選手(天満屋)は出場予定でしたが、急遽欠場となりました。
パリ五輪女子マラソン代表の前田穂南(天満屋)が右大腿骨疲労骨折のため欠場することを発表した。
なお、大会の補欠解除指定日だった8月2日時点では本番に向けた調整練習の段階にあり、細田あい(エディオン)の補欠解除決定に至ったという。
そのため、代表選手の入れ替えは実施できず、日本時間8月11日午後3時スタートの本番は、鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)の2名で臨むことになった。
パリオリンピックのマラソンのゴールのアングル。東京マラソンの東京駅を背にしたゴールとちょっと似ているなと。スタジアムがゴールではないオリンピックといえば、アテネのパナシナイコを思い出す。鈴木優花選手も一山麻緒選手も、ゴール後に笑顔が見られて良かった。 pic.twitter.com/H89RZBbmsK
— 小川みどり (@mother_ogawa) August 11, 2024
男子マラソン 結果
#パリ五輪
— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) August 10, 2024
男子マラソン結果
🥇T.トーラ🇪🇹2時間06分26秒
🥈B.アブディ🇧🇪2時間06分47秒
🥉B.キプルト🇰🇪2時間07分00秒
4位 E.カイレス🇬🇧2時間07分29秒
5位 D.ゲレタ🇪🇹2時間07分31秒
6位 赤﨑暁🇯🇵2時間07分32秒
7位 T.ラマコンゴアナ🇱🇸2時間07分58秒
8位 C.マンツ🇺🇸2時間08分12秒
13位…
赤崎暁選手は1年前まで日本国内でも無名の選手でした。
レース前の自己ベストは2時間09分01秒ということもあり、世界では戦えないと言われていた選手でしたが、見事6位入賞を果たし、自己ベストを約1分30秒更新しました。
東京オリンピック6位の大迫傑選手は13位、小山直城選手は23位でした。
オリンピックのマラソンで2連覇の絶対王者エリウド・キプチョゲ選手(ケニア)は、31km地点で途中棄権しました。
女子マラソン 結果
#パリ五輪
— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) August 11, 2024
女子マラソン結果
🥇S.ハッサン🇳🇱 2.22.55=五輪新
🥈T.アセファ🇪🇹 2.22.58
🥉H.オビリ🇰🇪 2.23.10
4⃣S.ロケディ🇰🇪 2.23.14
5⃣A. ベリソ🇪🇹 2.23.57
6⃣鈴木優花🇯🇵(第一生命) 2.24.02
7⃣D.R.メリンゴル🇷🇴 2.24.56
8⃣S.チェサン🇺🇬 2.26.01
51位 一山麻緒🇯🇵(資生堂) 2.34.13
オリンピック初出場の鈴木優花選手は、アフリカ勢に食い下がる見事な走りで6位入賞を果たしました。
東京オリンピック8位の一山麻緒選手は51位でした。
前回の東京オリンピックでは5000mと10000mで金メダル、1500mで銅メダルを獲得しているシファン・ハッサン選手(オランダ)がオリンピック新記録で金メダルを獲得しました。
パリオリンピックの5000mで銅メダル、10000mでも銅メダルを獲得したハッサン選手は、10000mを走り終えた後、わずか34時間30分後にマラソンを走るというとんでもない超人ぶりが話題になっています。
中盤では少し遅れをとっていて、一時は鈴木選手にも抜かれたハッサン選手でしたが、終盤の強さは圧倒的でした。
これほどの難コースであるにも関わらず、男女ともにオリンピック新記録が出たのは本当に驚きました。
夏のマラソンにしては走りやすい気候、下りの距離が長く、かなりスピードが出るといった要素はあるもののオリンピック選手は凄いと改めて感じるレースでした。