切り抜き動画とは
ちょうどコロナ禍だった2020年~2022年にYouTubeで非常に伸びたジャンルがありました。
それがいわゆる「切り抜き動画」です。
人気YouTubeチャンネルの生放送動画の反響のあったシーンや面白いシーンなどを切り抜いて、テロップ追加等の編集を行った動画が爆発的に再生されるようになりました。
副業として手軽に取り組めるということで、多くの人々がブームに乗じて切り抜き動画に参入しました。
実は私もその中の1人でした。
今はもう切り抜き動画のブームは過ぎ去った頃とは思いますが、もしかしたら今からでもやってみようかと考えている人もいるかもしれません。
そんな方に向けて、切り抜き動画とは一体どういうものなのか、私が実際にやってみてどういう結果になったかということをお伝えしたいと思います。
著作権について
YouTubeで他人の動画を許可なく切り抜いてアップロードすれば、著作権侵害にあたり犯罪です。
著作権侵害は犯罪です。
ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィス
著作権法第119条1項には、著作権を侵害する行為をした者に対して10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの両方を科すことが定められています。
切り抜き動画を投稿する場合は、必ず許可を取ってからにしましょう。
申請方法
切り抜き動画を投稿するにあたって、まずは許可を取ることが必要です。
例として、ガジェット通信に切り抜きチャンネルを運営することを申請する方法について簡単に紹介します。
ガジェット通信では、切り抜き動画を許可している多くのYouTubeチャンネルの収益に関する業務を代理で行っています。
収益化審査をクリアしている切り抜きチャンネルをガジェット通信クリエイターネットワークのMCNに紐づけます。
ガジェット通信
ガジェット通信クリエイターネットワークより切り抜きチャンネルの収益を、設定した収益分配率に応じてクリエイター様へ毎月お支払い致します。
ガジェット通信
まず、ガジェット通信のホームページに行き、切り抜きができるクリエイターの一覧から切り抜きたいチャンネルを選びます。
例えば、赤髪のとものゲーム実況チャンネル!!を切り抜きたいとします。
申請フォームをクリックします。
すると、以下のような申請フォームが表示されます。
以下の情報を入力します。
- メールアドレス
- 切り抜きたいチャンネル名
- 切り抜きたいチャンネルのURL
- 切り抜きたいチャンネルのID
- 氏名(フルネーム)
- ハンドルネーム
個人情報の取り扱いについて「同意します。」にチェックして送信します。
切り抜き動画のメリット
顔出し不要
切り抜き動画はすでに人気のある有名YouTuberなど他人の動画を切り抜くものです。
したがって、自分が顔を出したり、声を出したりする必要がありません。
容姿や声に自信が無かったり、会社に副業がバレないか心配な人でも安心して取り組むことができます。
撮影不要
例えば自分が顔出しして何か話をする場合、撮影するカメラが必要となります。
視聴者にとって見やすい動画にするためには、それなりに高価なカメラや機材がいるでしょう。
しかし、切り抜き動画ではカメラは必要ありません。
動画編集ソフトは必要ですが、何十万円もする高価なカメラに比べれば、かなり費用を抑えられます。
ネタを考えなくて良い
YouTubeチャンネルを継続して運営していくと、そのうちネタが無くなることがあります。
面白いネタが全然浮かばず、そのままチャンネルが更新されなくなるケースも見受けられます。
切り抜き動画では、公開されている動画を切り抜いて編集するだけです。
自分が一からネタを考える必要がありません。
切り抜き動画のデメリット
切り抜き動画は比較的気軽に始めやすい副業であると言えます。
しかし、切り抜き動画にはデメリットが少なからずあります。
切り抜き動画禁止
切り抜きチャンネルを運営して収益化したい人にとって大きなリスクは、切り抜きが突然NGとなることです。
事実、中田敦彦さんやヒカルさんなどは切り抜き動画を一定期間は容認していましたが、その後切り抜き動画を認めない方針に転換しました。
一部に良くない切り抜きをする人がいて、サムネイルやタイトルによって自身のイメージが損なわれてしまったなどのデメリットがあったようです。
特に切り抜き動画を容認するメリットを感じないということで、今後は他の配信者も切り抜き動画を認めない方向に転換する可能性もあります。
それなりの時間をかけて頑張って動画編集したにも関わらず、その努力が無駄になってしまった人が発生してしまいましたし、今後もそういう人が出るのではないかと思います。
ライバルが多い
人気のYouTubeチャンネルでは、すでに多くの人々が切り抜き動画に参入していて、チャンネル登録者数が数十万人の人気切り抜きチャンネルもあります。
成果を上げている切り抜きチャンネルが多数ある状況で、今から切り抜き動画に参入するのは正直遅すぎるのではないかと思います。
収益化までのハードルが高い
これはよく言われていることですが、2018年2月20日よりYouTubeの収益化条件が厳しくなりました。
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- 過去12ヶ月間の総再生時間が4,000時間以上
この2つ条件を満たして初めて収益化できます。
収益化までのハードルが高く、収益化まで至らずにやめていったチャンネル運営者も多数います。
収益化停止のリスク
切り抜きチャンネルを運営するにあたって本当の問題は、先程述べた収益化条件をクリアしたにも関わらず、収益化が認められないことが普通にあるということ。
それから、収益化していた切り抜きチャンネルである日突然、収益化が認められなくなることです。
2022年の後半からYouTubeは本格的に切り抜き動画の収益化を停止する動きに出ています。
同じような動画が大量に発生すれば、YouTubeのアルゴリズムが狂いますし、何よりサーバーの負担が無駄に増えることになります。
このような事態はYouTubeにとっては好ましくないでしょう。
YouTubeは再利用されたコンテンツを制限しますと規約にも書いてあります。
切り抜き動画の場合、この再利用されたコンテンツという項目で引っかかって収益化が却下されたり、突然収益化が停止してしまうケースが非常に多いです。
他のクリエイター達によって何度もアップロードされたコンテンツというのは収益化が認められません。
では、きちんと編集してアップロードすれば大丈夫なのではと思った方もいるかもしれません。
2021年まではテロップを入れるだけでも、ほとんど収益化できていたようです。
しかし、2022年以降はフルテロップに加え、オープニングとエンディングを追加しても収益化されないケースが著しく増加しています。
時間をかけてかなり凝った編集をしているにも関わらず、収益化が却下されて動画投稿をやめてしまうチャンネルが相次いでいます。
ごく一部の切り抜きチャンネルだけに収益化を認めて、後のチャンネルには収益化を却下する傾向が見られます。
今から切り抜きチャンネルを始めて収益化しようと考えている方には別の副業を検討されることをおすすめします。
時間と労力の無駄になってしまう可能性が非常に高いからです。
収益化停止された例
再利用されたコンテンツとYouTubeに判定されて収益化停止された例をいくつか紹介します。
【収益化停止されました】もしよろしければ、ご協力お願いいたします。 当チャンネルは、YouTube様が設けているYouTube収益化ポリシーを 遵守していないと判断され、収益化停止の処分を受ける事となりました。 再利用されたコンテンツと判断されたようです。(続く
— lack家の切り抜き部屋【雑談メイン切り抜き】 (@coffee_kirinuki) February 13, 2024
収益化停止の件でご協力してくださった方ありがとうございます。
— lack家の切り抜き部屋【雑談メイン切り抜き】 (@coffee_kirinuki) February 15, 2024
現在の状況ですが、収益化戻ってません。
再審査請求、次に出来るのは4月です。
実は、1月中旬から収益化停止されていたのが、昨年の12月の収益を受け取る前で、このまま行くと、12〜4月まで収益無し…
ナンデ…ドウシテ…
切り抜きチャンネル収益化停止は、地味に痛くて再審査請求したけどダメでした!
— かなやん (@kanayan_gms) April 20, 2023
1ヶ月まつのが時間の無駄なので、切り捨てて新しく立ち上げて再度投稿します!!
今月チャンネル内で頑張って稼いだ金額パーだけどまぁしゃあない。
ちょっと前に収益化した自分のYouTubeチャンネル。収益化停止されたー異議申し立ての動画焦って作成中…。切り抜き動画だから再利用されたコンテンツの収益化停止とイタチごっこになりそう…まぁそもそも再申請通るか謎だけども… pic.twitter.com/iv3mx4gFNt
— CCオレンジ (@mekazawaorange) November 22, 2023
私ごとですが本チャンネル「きまぐれ切り抜き部」はYouTube様より収益化停止されました。
— きまぐれ切り抜き部 (@KKB_vtuber) February 7, 2024
それにともなり原因となる動画の削除をすることとなり、収益化再開までの間動画の投稿数も控えめになります。
2024年に入っても切り抜き動画の収益化停止が着々と行われているようです。
これらの例は氷山の一角でしょう。
実際にやってみた結果
私も実際に2022年から切り抜き動画を始めて、開始から約1年後の2023年2月5日にはチャンネル登録者数が1,000人を突破しました。
当初は動画の再生回数が全く伸びずに苦労しましたが、投稿を繰り返していくと、かなり再生される動画が出てきました。
とある動画は2023年の再生回数が約22万回、総再生時間が1.2万時間でした。
動画1本で過去12ヶ月間の総再生時間が4,000時間以上というもう1つの収益化条件をクリアしています。
しかし、結果はというと・・・
再利用されたコンテンツということでチャンネルの収益化は認められませんでした。
自分で言うのもなんですが、それなりに凝った編集はしたつもりです。
それでも面白いシーンを切り抜こうとすれば、どうしても他の人達と同じ部分を切り抜くことになってしまいます。
他のクリエイターによって何度もアップロードされたコンテンツと判断されてしまったのでしょう。
再申請は何度も行いました。
動画を送信して再審査請求も行いました。
しかし、切り抜き動画の場合は他の人の動画をダウンロードして編集を行いますが、YouTubeは切り抜き動画の作成方法そのものをどうも認めていないようです。
再審査請求でも収益化は却下されました。
切り抜き動画の場合、一度収益化が却下されるとその後はほとんどの場合、再申請しても収益化が却下され続けるようになります。
結局、私の場合1年以上お金と時間と労力をかけても切り抜き動画からは1円も収益を得られませんでした。
私は実際にこのような経験をしていますので、これから切り抜き動画をやってみようかなと思っている人に対して、切り抜き動画をおすすめすることはできません。